「サハラ砂漠の風」体験談 4月 no.2
モロッコ旅行期間:2018/04/28~2018/05/06
私は、50才を契機に家内と一緒に海外旅行を始めました。それから、15年近くなり、いろいろ、行きつくした感があり、今回はモロッコに決めました。
モロッコといっても、砂漠のラリーや映画(カサブランカ)のイメージしかなく、有名な建造物もないので、今までは敬遠していましたが、エジプトから始まったアラブの春の影響でアフリカ行きがどんどん困難になってきたのも、その一因でした。
モロッコはサハラ砂漠しか期待していませんでしたが、今回、写真には納まりきれないスケールの大きい風景、緑あふれる大地から砂漠までの多様性に圧倒され、また、個人ツアーをお願いした「サハラ砂漠の風」には、大変お世話になりました。我々は、いわゆる団体ツアーは苦手で、英語はなんとかなる?ということで、2人だけの気ままな旅行が主でした。
今回は、さすがに言葉の問題もあり、(フランス語、アラビア語、ベルベル語が混在)、ネットで体験記を見つけ、決めた次第でした。(今回もこれから行く人の参考になるかと思い書いています)
正解でした。旅行会社的なツアーでなく、友人がセットしてくれたツアーのようにフレンドリーなツアーでした。ホテルも、こじんまりとしたかつ立地条件も良く、すべてが心こもったものでした。
あまり書きすぎると宣伝臭くなるので、体験記を始めましょう。
ロンドン経由でロイヤルモロッコ航空でカサブランカに入ったのですが、私のスーツケースが出てきません。(結局、2日後に、空港まで取りに行きました)
ということで、手続きなどで時間がかり夜の11時前にカサブランカから宿泊地のマラケシュまで、車で移動。この時ほど、ツアーを頼んでいてよかったと思ったことはありませんでした。ガイドのハミドさんは、その後も航空会社と折衝していただき、大変感謝した次第です。荷物も一緒に取りに行っていただきました。
とはいえ、真っ暗な中を高速で走っていく時の気分は最悪で、疲れ切っており「ひどい国にきたものだ!」と思いつつ、夜中の2時前にマラケシュのホテル(RIAD)に到着。入口はなんの変哲もない家の扉でしたが、中に入ってビックリしました。きれいでおしゃれなエントランス、中庭があり、そこで、入れていただいたミントティーのおいしさ。一度に疲れが取れました。これは、いい旅になりそうだな。
家内のスーツケースだけなので、そのまま睡眠。
翌日は、リアドの屋上でオレンジジュース、パン、パンケーキ、蜂蜜、ジャムの朝食。すべてが我々の口に合います。この日は、日本語ガイドをお願いして、彼に市内を案内してもらいました。マラケシュは、やはり迷路の町で、個人で歩くのも一興ですが、やはり、ガイドを雇うほうをお勧めします。
マラケシュはエネルギーあふれる街で、圧倒されどおしです。店では生きたニワトリ、ウサギ、**が売り買いされています。また、皆、速足で、ロバや荷車、せかせか歩く人がどんどん追い抜いて行きます。といっても、数名が所在なさげにたむろしているなど不思議な街です。
スーツケースがないので、ガイドさんに案内してもらい、スマートホンの充電器のプラグを買い、下着も買い(カフェーの中まで売りに来ます)、なんでもそろいます。
車で、イブサンローランが別荘として買ったマジョレル庭園に行き(これはおしゃれなきれいな公園)、また、スーク(市場)に戻り、皮のスリッパを買い、リヤドで休憩。このスリッパですが、日本ではいていますが、快適でもう一つ買っておけばと思いました。
スークでは値札は全くついておらず、自分ならこの値段で買いたい値段を持って、交渉する必要があります。いくらですか?と聞いてから始めるのもいいのですが、どうも、不満が残ります。(後で、ガイドさんが教えてくれましたが、安い製品は中国製が多く、良いものは高いとのこと)
翌日は、車で200キロのエッサウィラという海辺の町に行きました。途中にアルガンオイルというこの地の名物を売っている店に寄り、実にいい匂いのするオイル(食用、スキンケアー用、蜂蜜入り)を買いました。結構高い値段だなと思いましたが、日本で調べた値段のおよそ半額。もっと、買っておけばと思いました。オリーブオイルとは異なり、独特の香りがしますので、現地で試してから買うほうがいいでしょう。
この店も、無理やり連れて行かれるのではなく、「行きますか?」と聞かれていった店です。この点も安心できるところです。
エッサウィラは、寒流のカナリア海流の影響で、風が強く、寒いくらいの涼しさです。フランスのつくった比較的新しい街なのでブルーの壁が美しい街です。ここでは、海辺の見えるレストランで食事して、再びマラケシュの街に戻ってきました。
夜は、疲れていたので、リアドで食事を作ってもらい、野菜を主にした前菜、鳥のタジン鍋を食べて、あとは、少し、フナ広場を歩き、寝床に。夜は、昼間とは異なり一段とにぎやかで、どこから集まってくるんだろうというくらいたくさんの人出でした。イスタンブールでスリにあったことがあるので、気を付けていましたが、家内の手提げのチャックが気が付いたら空けられていました。何も、いれていなかったので事なきを得ましたが、気を付けましょう。
翌日は、いよいよ、マラケシュからアトラス山脈越えです。アトラス山脈は雪をかぶっており、その雪解け水が河となり、緑の世界が広がっています。道路は整備されており2,260メートルのティシュカ峠を越えていきます。眼下には、美しい田畑が広がっておりどこやら日本の風景に似ています。途中、ティルウィット・カスバに寄りました。バスではいけないような細い道を1時間はしり、到着。外観は荒れ果てていましたが中に入ってあまりの美しさにビックリ。幾何学文様のタイル、杉の細工、よくぞ残っていたものです。これは、普通のツアーではいけない場所だなあと思いました。
また、元の道に帰って、アイト・ベン・ハドゥへ。ここは、グラデイエーターの舞台になった世界遺産で、事前には知っていましたが、上にのぼってそのスケール感にビックリ。はるか遠くまで360度の展望で、眼下にはコウノトリが悠然と飛んでいます。初めて、野生のコウノトリを見ました。そして、今夜の宿泊先であるダデスに到着。丘の上のホテルで、夜景、風が心地よく、疲れが癒されました。
翌日は、いよいよ砂漠に向かいます。途中、トドラ渓谷に寄り、300メーターの切り立った谷を歩きます。これも、写真ではわからない圧倒的な岩壁の存在、首が痛くなります。よく見ればロッククライミングの人もいます。また、涼しく快適。
トドラ渓谷からは一路砂漠へ。ランドクルーザーは快適に飛ばします。運転手の***さんは、28才。イケメンで実に慎重な運転をします。制限速度はきっちり守って、追い抜きも絶対安全なときしかしません。窓から入ってくる風は涼しく、ついつい、うとうとします。これも、運転手に対する信頼感からでしょう。
砂漠のホテルに到着して、いよいよ、ラクダに乗って砂漠のテントに。ラクダに乗るのは初めての経験でした。2時間揺られましたが、還暦過ぎた身には結構こたえました。40分で夕陽だけを見に行くツアーもあり、これにするのもありかと思います。
ラクダの背に乗る砂漠は風が強く、寒いくらいです。夕陽は残念ながら雲で見られず、テントで食事。スープ、タジン鍋の簡単なものでしたが、意外と美味しく、また、食事後の演奏などを聞きつつ、テントでお休み。夕方には曇っていた空も夜半には晴れて、空いっぱいに星が広がります。恐ろしいくらい静かです 。
翌日は、日の出を見るためにテントの裏の山に登ります。これが、また歩きにくく、途中で日の出を見ます。ガイドブックではサンダルと書いていましたが、サンダルでは登れません。まだ、はだしの方がましかもしれません。我々は靴で登りました。
真っ赤な朝日を予想していましたが、砂塵の中にまん丸の朝日が昇っていくのも不思議な体験でした。ただ、寒かった。ダウンを持って行って正解でした。
砂漠から、ホテルに帰りシャワーを浴びて、化石の谷、ノマド(砂漠の民)の家に行きミントテイーを飲みます。化石は、孫へのいい土産になりました。
翌日は、いよいよアトラス山脈を越えてフェズに向かいます。500キロの旅です。フェズに近づくと緑が多くなり、牧草、小麦畑が広がり、ロバ、馬、牛などいろんな動物が働いて(?)います。1000年以上まえから続いているのでしょう。
フェズでは、朝から日本語ガイド(モロッコに13人しかいないそうです。ガイドなしでは町の散策は極めて困難です)に迷路の中を案内してもらい、革製品を買い、午後からはウルヴリスのローマ遺跡に行きます。ローマ遺跡は今まで結構見ましたが、ここは観光地化しておらず、そのまま朽ちていく趣があります。遺跡の間に生えている草とモザイク、また、コウノトリが巣を作っています。小鳥もいます。
そうして、最終日のメクネスに到着。夕方に、広場と市場に行ったのですが、観光客は皆無。現地の人でにぎわっています。この時、『本当のモロッコに来たなあ!』と感じて、人ごみの中を歩きました。観光地めぐりとは異なって思い出深いものがありました。
翌日は、カサブランカ空港に着き、ハミドさん、ドライバーさんともお別れ。今までの個人旅行とは違ったいいツアーでした。
少し、気づいたことですが、風は快適ですが、やはり乾燥しており、脱水症状にならないように水分の補給を心がけること、また、トイレは小銭がいりますし、紙がないところもあり、忘れないように。また、車酔いとめ薬を飲んでいましたが、これは必需品かと思います。砂漠では、カメラが砂で故障しました。ビニールなどでくるんでいくべきでした。
また、モロッコは体力がいりますので、元気なうちに行かれることをお勧めします。ガイドブックや写真ではこのスケールはわかりません。素晴らしいところでした。